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『心の音』(9)~知花さんのエッセイ

Anniversary

あのね、今日ね、すっごくいいことあったんだ!
頬を赤く染め全速力で走り切れた息を整えながら子供は、必死に話し出す。「ねぇ聞いてよ。それでね、あとね」急いでよく回らない呂律に悩まされながら喋ろうとするこの子の姿がかわいくて、「落ち着いて」と言おうと思ったけれど真剣に大きく口を開けて、外での楽しい出来事を微笑みながら聞いてしまいました。
遠足で○○ちゃんとおっきな滑り台で遊んだの。蝉の抜け殻見つけたんだ。拾った落ち葉で焼き芋したい! いとこのお姉ちゃんと雪だるま作ってきたよ。来年は雪合戦もしたいな♪
先生に褒められたテストでいい点とった。でも昨日怖い夢見ちゃったんだ…。
怯えて泣きべそかいて見上げる私の顔。遠い昔の自分を思い起こしながら私は彼女に囁いた。
「大丈夫…お母さんがいるから、安心してゆっくりお休みなさい」


転んだひざ小僧さんが泣いてるよ。痛いの痛いの飛んでけ~! って声掛けた。そしたらちょっぴり元気になった。そうだママ見て!  ほらお口の奥のお箸持つ方!  学校で歯が抜けたんだよ!  先生がおめでとうって言ってこの袋にいれてくれたの!

この子が泣かずに過ごせればいいのに。二度と苦しまなくてもいい安心できる明日ならいいのに。他の子はどうなったって構わないから、この子だけは不幸に苛まれなければいいのに…。
これからこの子の将来には一体どんな人生が待ち受けているのでしょう。泣き虫なこの子が泣かずに過ごせる未来は果たして存在するのでしょうか。広がる笑顔を隠さなくてもいいのでしょうか。私も共に笑っていていいのでしょうか…。

…お母さん?
ほら、あの子が泣いてます。不安がるあなたの心情を察知し心配そうにあなたの涙を見つめています。
泣かないで。声にならない声で子供が涙を堪えて水滴を拭き取っていきます。代わりにわたしが苦しむから。僕が一緒に泣いてあげるから。
ありがとう、伝えなくちゃならないね。ここまで成長してくれたかわいい我が子へ。今まで何一つ障害がなかったわけではないけれど、それでも幼いながらに悩み苦しんで立ち上がり生き抜いたこの愛らしい子へ。


おかえり、ただいま、行ってきます。
行ってらっしゃい、希望の光。私達の新たな未来。生まれ来る無垢な命へ おめでとう ありがとう 綺麗な言葉をその手に篭めて。
生まれてきてくれて、ありがとうー…。
そしてわたしを一番に抱いてくれたお母さん、いっぱい頑張ってくれてありがとう。これからたくさん迷惑かけます。時には背負わなくていい苦労を身に覚えのない迷惑を被ることもあるでしょう。わたしが成長してもまだまだ不安は健在でしょう。この小さかった身体はいつの間にかこんなに大きくなりました。


たった一つの奇跡と運命。確実な軌跡はいつか四季彩の人生を存分に色付かせるでしょう。涙を殺して見上げた夜空も、声を潜めて壊れた時計にした相談もいつかのための幸せの貯金。
花粉に苦しみ強がる秋も、寒さに震えて負けそうな冬も、もう大丈夫。春になったら桜が咲いて桃色の甘い香りが私達に微笑むでしょう。夏になったら海にキャンプにスイカに花火。いっぱいいっぱい遊ぼうね。夏休み明け、誰よりも眩しく日焼けの跡が映えるように。始まったばかりの人生には、たくさんの目映い想い出が待ち受けているから。そして決して簡単ではない困難を進む毎に、目まぐるしい明るい変化と輝かしい笑顔の両方が洞窟のあちこちに鏤(ちりば)められているはずだから。
今日は記念日。あなたが生まれた記念すべき麗しい日。あと何度このおめでたい生誕の日に立ち会えるかな?  大きくなったら家族のことなんかそっちのけ、友達との約束事に忙しくて私達のことは忘れちゃうかな? 忘れないでね。いつでもあなたが一番だよ。いつだってあなたが大好き。おめでとう。将来の分も含めて今日はいっぱい祝いたい。数え切れない“愛してる”を笑顔に変えて。幸福の鐘が鳴る。祝福を歌う音に跳ねる小鳥の鮮やかなダンス。ベビーカーの中からでも元気よく鳥に反応し楽しそうに笑いはしゃぐ姿を見ているうちに、生まれてきてよかった と思わず感謝していたら、ふいに家族への想いが溢れてきました。



THE END.
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by WCK-News | 2012-04-29 00:01 | 知花さんのエッセイ『心の音』

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