2012年 04月 29日
『心の音』(11)~知花さんのエッセイ
楽園
死にたい…。
呟いた一言が、ぽたり雨になって流れ出した。
なにがいけないの? どうしてこうなるの? ぶつけられない怒りが収まらない。もう嫌だ。生きるのなんてもう嫌だ。人に会うたび傷付いて、誰にも会えずに傷付いて、胸の痛みが消え果てない。
もう解放して。その手から抜け出したい。それすら許されないのならば…
ねぇ、死ぬしかないでしょ?
悪魔がわたしに囁いた。これは天使? 楽になっていいという神様の御慈悲?
クスクス笑うその様はとても天使には見えない。
見たことのない無情の笑み。心ここにあらずの冷たい瞳。一目で分かった。ああ、この子は悪魔なんだな と。ただ人を傷付けにやってくるその非道且つ邪悪な存在は、わたしよりも遥かに幸せそうに笑っていた。なにより人を貶めることの快感を得るたび、そしてそれを自慢げにわたしに語るたびに彼または彼女の冷たすぎる青い瞳は瞬きを繰り返し幸せを表現していた。
わたしはなにも言わずに悪魔の言葉に耳を傾けていた。やがて悪魔の長い長い自慢話も終わりを迎えすべてが尽きるとそこは沈黙を貫くようになった。なにかネタを探す悪魔と無関心なわたしの心。どこか滑稽に思えてしまうのはやはりわたしが壊れてしまっているせいだろうか。
わたし達は、違っているようで似ているのかもね…。
ふとそう思った。
ああ、けどもうそんなことも…
今となってはどうでもいい。
わたしはなにも見なかった。こんな汚れた世界はお断りだというようにじっと目を閉じそこに在り続けた。
死にたい…。
呟いた一言が、ぽたり雨になって流れ出した。
なにがいけないの? どうしてこうなるの? ぶつけられない怒りが収まらない。もう嫌だ。生きるのなんてもう嫌だ。人に会うたび傷付いて、誰にも会えずに傷付いて、胸の痛みが消え果てない。
もう解放して。その手から抜け出したい。それすら許されないのならば…
ねぇ、死ぬしかないでしょ?
悪魔がわたしに囁いた。これは天使? 楽になっていいという神様の御慈悲?
クスクス笑うその様はとても天使には見えない。
見たことのない無情の笑み。心ここにあらずの冷たい瞳。一目で分かった。ああ、この子は悪魔なんだな と。ただ人を傷付けにやってくるその非道且つ邪悪な存在は、わたしよりも遥かに幸せそうに笑っていた。なにより人を貶めることの快感を得るたび、そしてそれを自慢げにわたしに語るたびに彼または彼女の冷たすぎる青い瞳は瞬きを繰り返し幸せを表現していた。
わたしはなにも言わずに悪魔の言葉に耳を傾けていた。やがて悪魔の長い長い自慢話も終わりを迎えすべてが尽きるとそこは沈黙を貫くようになった。なにかネタを探す悪魔と無関心なわたしの心。どこか滑稽に思えてしまうのはやはりわたしが壊れてしまっているせいだろうか。
わたし達は、違っているようで似ているのかもね…。
ふとそう思った。
ああ、けどもうそんなことも…
今となってはどうでもいい。
わたしはなにも見なかった。こんな汚れた世界はお断りだというようにじっと目を閉じそこに在り続けた。
by WCK-News
| 2012-04-29 00:03
| 知花さんのエッセイ『心の音』