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2013年9月 大藪順子さん写真展&講演会報告

2013年7月 大藪順子 写真展&講演会 
「性暴力サバイバーたちの決断と今」 報告

 7月12日から14日まで、京都で初めて大藪順子(のぶこ)さんの写真展と講演会(13日)が開かれた。大藪さんは、著書『STAND-立ち上がる選択』(フォレストブックス出版)でご存知の方も多いと思う。アメリカ在住のフォトジャーナリストで、1999年に就寝中に自宅でレイプ被害を受け、2001年よりアメリカとカナダで約70人の性暴力被害者を取材撮影し、写真プロジェクト「STAND:性暴力サバイバー達の素顔」を発表。米政府犯罪被害者支援機関の全米性暴力防止キャンペーンにも携わったという方だ。
 今回の企画は京都市が主催で、ウィメンズカウンセリング京都とウィングス京都が企画運営したもので、13日の講演会「性暴力サバイバーたちの決断と今」は大藪さんと井上摩耶子が講演を行った。当日は80名近くの会場がほぼいっぱいになり、参加者からは「勇気をもらった」などの反響があった。誌面の都合で、大藪さんのお話を以下に報告したい。
 自分は自宅という安全なはずの場所で被害にあった。被害によって失ったものは自尊心やコントロール。恐怖に閉じ込められて不自由になった。「どうして私にこんなことがおこったの?」と思った。レイプクライシスセンターの支援員でもあるカウンセラーに3カ月間カウンセリングを受けた。最初に「あなたのせいじゃないのよ」と言われたときには、「そんなのわかってます!」と逆ギレした。でも、頭でわかっていても心に入ってなかった。後から、「もっと頑丈なカギをかけていれば」「友だちの家に泊まっていれば」などと考えてしまった。
 被害後すぐに警察を呼び、病院で診察を受けた後、これから長時間事情聴取を受けなければならないのだろうと覚悟していた。でも、警察官から「今日は疲れただろうからシャワーを浴びて寝たらいいよ」と言われた。そして約束した時間に出向くと、「1回ですむようにみんなここで集まっている」と刑事や検事が一堂に介していた。これはアメリカのSART(性暴力対応チーム)システムが機能していたからだ。被害者である自分が考える前にまわりが動いてくれたという感じだった。
自分の被害は、一人暮らしの女性の家に犯人が侵入してレイプという「レイプ神話」に合っていた。でも、実際は9割近くが知り合いが加害者。だから被害者が責められる。なぜ加害者は責められないのか。日本では「痴漢に注意」とあったが、最近、「痴漢は犯罪です」とあるのを見て、やっと加害者の問題であると考えられるようになったと思った。
写真プロジェクトは、カウンセラーから無地のTシャツにメッセージを書いてつなげていく「クローズラインプロジェクト」を紹介されたことがきっかけだった。Tシャツを見せてもらって、Tシャツの裏に隠れている人が表に出てきてくれたらと思った。被害にあったからこそ、言えることがある。みんなどうしてこういう目にあったのか答えを探してる。顔と実名を出してというのは勇気がいる。でも、被害者はしゃべりたい。誰かに何かをしたいから。でも場所がない。社会が耳をもたない。
アメリカでは18歳までに女の子の4分の1、男の子は6分の1が被害にあっている。日本はいじめに隠れた性暴力があるのではないか。画像がインターネットで流されて、大人になって何をされたのか気づくということもある。ハワイの刑務所の加害者の85%が性暴力被害者。性虐待を防止することが犯罪を予防することにつながる。一人の加害者は、一生のうちに60人に被害を与えるというデータもある。性暴力や性虐待について声を挙げることで、どれだけ社会貢献につながるか。
大藪さんのお話の中で、逆ギレされようが『あなたのせいじゃない』といち早く聞くことは被害者にとって意味があるという趣旨で語られたことが印象に残った。アメリカでは資金集めのために有名人のサインのオークションをしたり、派手に楽しくやることも大事というお話にもなるほどと思った。京都でも性暴力被害者支援のネットワークをつくろうという動きもあり、本当にタイミングのよい企画だった。
(周藤由美子・WCKニュース第68号より転載)
by WCK-News | 2013-11-01 00:00 | WCK公開講座報告

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