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『ジェンダー化される身体』 荻野美穂著

ジェンダー化される身体
荻野 美穂 / 勁草書房 2002年





ワンピースを着て、ばっちりメークをキメた自分を「女装する」と評するひとがいる。
恋人に甘えたい気もちになった自分を、性的な気分が高まった自分を「女になる」と定義する人がいる。
彼女たちは「女モード」の自分とそうじゃない自分を意識しているらしい。
「女」というのは「もうひと手間」がいる。
「女」という言葉は依存性やエロティックな文脈において多用される。
生身の自分をジェンダー規範から自由に表現するのって難しい。

著者は大阪大学大学院助教授(女性史専攻)で、本書のテーマは「ジェンダー化された身体の歴史」。
ジェンダー化された身体とは、「〈女〉および〈男〉という性の違いが所与の大前提として設定された文化の中で、それにそって訓育され、立ち上げられ、生きられていく身体」のこと。
身体の言説と生身の自分に違和感を抱きつつも、生身の自分を表現するのをためらったり、言葉がみつからない経験をしてきたように思う。

本書は前近代の性差感から近代的身体の成立、フェミニズムと生物学、「産む性」と子殺しの関係、売買春問題、現代を生きる私たちがまさにとり憑かれている「美と健康という病」など多様なテーマを取り上げ、女性身体が歴史的にどのように意味づけられ、管理されてきたのか、そして女性たちがそれをどう体験してきたのかを説明しようとしている。
それらは、いまだ可視化されていない男の身体についても言及することで、いっそう分かりやすい。

著者は冒頭で、フェミニズムの「女性の身体への対し方」への不満と疑問を表明し、フェミニズムが「ジェンダーの分析やいかにそれを変革していくかという問題に関心を集中し、セックスがいわば棚上げにされてきた結果」生じている問題について論じている。

みんなで読んで話し合いたい一冊!
                                    (WCKニュース第22号より転載)
by wck-news | 2006-08-12 16:06 | 本・映画・DVD

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