人気ブログランキング |

ウィメンズカウンセリング京都          ☆スタッフblog

wcknews.exblog.jp
ブログトップ

2011年 05月 24日 ( 1 )

☆初めての方は、こちらもあわせてお読みくださいね。
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」



三年後

「芹佳、早くぅ! 今日から中学校だよ~!」
今日からわたし達は中学1年生。真新しい制服を着て、わたし達は走る走る。
「芹佳ったら、なんで入学式の日を忘れんの!? ほんと信じらんない!」
三年前のあの日と同じようにわたし達はこの道を走っている。
「露希ちゃんこそ! 昨日うちであんなにはしゃぐからぁ!」
昨日は久しぶりに芹佳の家に届けに行った。つい我を忘れて子供のように遊んでしまった。
「だって久しぶりだったんだから、しょうがないじゃん~! 芹佳だって、夜ずっと一緒に喋ってたくせに、わたしだけに責任押し付けないでよ。芹佳も悪いんだから! てゆーか遅刻して、その上間違えて小学校に行っちゃうなんて、なにそれって感じ! あ、学校だ…ってああ~! 門が閉められるぅ! 芹佳、急いで!!」
残りの距離を全速力で走ったわたしは、門までたどり着き、そのまま芹佳を応援する。と同時に思わず意味もなくその場で足踏み足踏み。
「到着~☆」
かなり遅れて芹佳が追い付く。あー、間に合ってよかった。
「だから、安心してる場合じゃないんだってばっ! 体育館まで走ろ!」
そうだそうだ。ここで安心してちゃだめなんだ。最終目的地(入学式の会場)は体育館だ~(汗)!
後ろから、芹佳の叫びが聞こえてくる。
「え~、またぁ~? もう嫌だぁ~!」
芹佳ってば、そんなこと言ってる間に走ればいいじゃん! 元気あるじゃん!!


それでもなんとか(ギリギリ)入学式には間に合って、これから教室で出席をとります!
「雨井時雨さん。」
「枝戸康太くん。」
「大方美代理さん。」
音量や声質は違うものの、それぞれが返事をしていく。
「上條芹佳さん。」
それが止まったのが、こいつの時だった。芹佳の返事がない。なんで? 芹佳の席を見ると、芹佳は呑気にあくびをしていた。
芹佳ぁぁ! あくびしろ~! …じゃなくて…返事しろぉぉぉ!
わたしの声が聞こえたのか、芹佳が振り向いた。わたしに気付くと、満面の笑みでピースしてきた。なにしてんの? 芹佳…。
わたしは口をパクパクさせて、『返事、返事!』と言う。
「…尚咲さん? なにふざけてるの?」
「…あ。」
いつの間にか先生がわたしのそばに来ていた。そしてふざけていると思われたわたしは、たっぷりとお叱りを受けたのであった。


「…それでは出席を続けます。上條さんはいますか?」
「はい。」
ここでやっと芹佳が返事をしてくれた。まったく、誰のせいでこんなことになったんだか。


ここからは順調だと思ってたんだ。…でも、運命はそんなわたしの期待を無惨にも打ち砕いた。
「次、清海さん。清海音芽さん。」
ん? 清海? …きようみ? …わたし、その名前聞いたことあるような気がする。どこで聞いたんだっけ? うーん…出て来そうで出て来ない。まぁ、そのうち思い出すはず。きっと、ね。


どれくらいの時間が経ったのかな。気が付くと、わたしは校門の前に立っていた。ここにいるのは、わたしと芹佳と…あれ? なんで芹乃がここにいるんだ?
「やっほ~、露希ちゃん。芹乃もお祝いに来たよッ。入学おめでとー!」
袋にいっぱいのビー玉をもらった。…え、なにに使えと?
「あ、そうだ…。」
芹佳が鞄を探り、可愛くラッピングされた袋をわたしに見せた。
「はい! 入学のお祝いだよ♪って、わたしも同い年だけど(笑)」
入学祝いってことは、やっぱり文房具とかかな? …もしそうだったらもしかしてプレゼントかぶってる…? いやいや。そんな偶然あるはずないって。
「ありがとー。家に帰ってから開けるね! ところでわたしも芹佳にプレゼントがあるの。入学祝いだよッ。」
鞄に入れてずっと持ち歩いていた袋を芹佳に見せる。
「わ~。ありがとね! 一生大事にする♪」
そう言うと芹佳は、嬉しそうに袋をぎゅっと抱き締めた。




by wck-news | 2011-05-24 00:00 | 知花さんの小説『想い出』

フェミニズムの視点にたった女性のためのカウンセリングルーム、ウィメンズカウンセリング京都のスタッフブログです。最新の講座情報やスタッフの雑感などをお届けしています!


by WCK-News