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2011年 11月 19日 ( 1 )

☆初めての方は、こちらもあわせてお読みくださいね。
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
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「あ、芹佳ー。遅かったじゃん、なにしてたの?」
「あ、思ったより買い物に時間がかかって。あの、それより都絆菜ちゃんのことだけど…」
「え?  都絆菜がなにかしたの?  ごめん!  わたしから叱っとくから許してやって」
露希ちゃんはそう言ってわたしに手を合わせた。
「許すもなにも…都絆菜ちゃんは露希ちゃんに叱られるようなことなにもしてないよ。ただ、ちょっと聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
小首を傾げ露希ちゃんはわたしを見た。
「…都絆菜ちゃんていい子だよねー。子供らしくないけど、凄く友達想いで」
「でしょ~?  都絆菜って、気は強いけど実はいいヤツなのよー」
そうやって露希ちゃんは屈託のない笑顔を見せた。
「さっき買い物に行った時都絆菜ちゃんに会ったんだ。…そこで全部聞いちゃった。ねぇ、露希ちゃん。わたしは都絆菜ちゃんの提案、いいと思うんだけど、どうして反対しているの? あと、チーコちゃんって誰…?」
「チーコってのは結理恵と都絆菜の友達で小三。二人と同じ入院仲間で…あ、ちなみに本名は杜若知依子ね。…そりゃわたしだって都絆菜の提案には大賛成だった。もちろん今も変わってないよ。…だけど、それはできないんだよ…」
「どうして…?」
わたしは露希ちゃんの表情が曇っていたのを知りながらそれを問い質さずにはにはいられなかった。
「毎月誕生会は十五日にするの。一日と三十日の間ってことで。もちろん今月もね。…小三軍団はあの三人しかいなくて遊ぶ時はいつも三人きりだった。まぁお陰で絆は大分深まってるけどさ。…でも今月の十四日にチーコは退院しちゃうから、ちょうど誕生会には参加できないの…」
『バサッ!』 紙が床に落ちる音がした。
「え? なんの音?」
「分かんない。さっきの音、ドアの向こうからしたよね…ドア開けるよ?」
『ガラガラ…』
静かにドアを開けそこに立っている人物を見た時、わたし達は思わず息を飲んだ。
「結理恵…!」
「結理恵ちゃん…!?」
同時に叫ぶわたしと露希ちゃん。なんとそこにいたのは結理恵ちゃんだった。
「…ちーちゃんいなくなっちゃうの…?」
わたしは慌てて床に散らばった紙(プリント)を拾う。そして露希ちゃんは慌てて弁解する。
「ゆ、結理恵…今の話はなんでもないから黙っといて? ね?」
「都絆菜ちゃんに知らせなきゃ…!」
幼い我が子を諭すような形で説得を試みるも失敗。露希ちゃんの言葉にも耳を貸さない結理恵ちゃん。
「結理恵ちゃんっ! ちょっと待って!」
わたしは急いで結理恵ちゃんの先回りをして病室の扉を閉める。
「どうして? どうしてだめなの? どうして都絆菜ちゃんに教えちゃいけないの? わたし達、ずっと一緒だよって約束したんだよ? ちーちゃんがいなくなっちゃうの嫌だもん。都絆菜ちゃんにも教えて二人で止めるの…!」
この騒ぎを聞き付け登場したのは希美花ちゃん。なぜか片手に紙袋を持っている。
「どうしたの!?  結理恵ちゃん、落ち着いて。話は露希ちゃんから聞くから、結理恵ちゃんは部屋に戻りなさい。後でじっくり分かりやすく説明するから。この騒ぎのことは都絆菜ちゃんや知依子ちゃんには言っちゃだめよ。言ったら二人共結理恵ちゃんのこと心配しちゃうから。ここにいる子達はみんな身体のどこかに悪いところがあるの。それは結理恵ちゃんもよく知ってるでしょう? だから余計な心配させないようにしてあげて。辛いだろうけど、このことはひとまず結理恵ちゃんの胸にしまっておいて」
希美花ちゃんの必死の説得に結理恵ちゃんも納得したようだ。素直に頷いて病室へと戻っていった。
「た…助かったぁ。ありがと、希美花ちゃん」
「じゃ、なにがあったのか一連を話してもらいましょうかね。嘘はだめよ。正直にすべてを話すこと。大丈夫。私はあなた達の味方だから。ね」
そう言い希美花ちゃんは院内全体を穏やかに包むように微笑んだ。

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by WCK-News | 2011-11-19 00:00 | 知花さんの小説『想い出』

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