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2011年 05月 30日
WEBからのお問い合わせについてのお願い
WEBからカウンセリングや講座の申し込みをしていただいた皆さま、
どうもありがとうございます。
ご連絡いただいた中で、スタッフから返信のメールを送っても
うまく届かないケースがあります。
もしかすると入力していただいたご自分のメールアドレスに
間違いがあったのではないかと考えられます。
メールを送られてから2週間以上経ってもこちらからの返信がない場合には、
恐れ入りますがメールアドレスの入力等を再確認していただいた上で
再度お問い合わせいただけたらと思います。
ウィメンズカウンセリング京都スタッフ
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ウィメンズカウンセリング京都スタッフ
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by wck-news
| 2011-05-30 13:00
2011年 05月 26日
『心の音』(4)~知花さんのエッセイ
☆初めての方は、こちらもあわせてお読みくださいね。
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」
悲哀
『弱い』。そう思われたくないから、泣かないようにしています。
『でしゃばり』。そう思われたくないから、控えめに涙を流しています。
『可哀想』。そう思われたくないから、なにもなかったような顔を見せます。
外では絶対泣きません。その後が怖いから。
泣くなら一人で泣きたいです。どうしようもない悲しみに打ちひしがれて。
雨が降る下で泣きたいです。折れた雨傘片手に握って。
誰もいないところで泣きたいです。暗闇の中、光ったり消えたりを繰り返す柔な街灯を見つめながら。
どうしたら強くなれますか? 涙流さず生きられますか?
人を傷付けるのが嫌だから、自分自身を傷付けます。怖くないよ。痛くないよ。本当に痛い時は、ちゃんと言うから…。
我慢ばかりしていたせいで、涙の流し方を忘れました。
自己主張をやめてしまったせいで、人との接し方を忘れました。
自分の幸せを棄てたせいで、笑い方を忘れてしまいました…。
失った3つのもの。涙。愛。笑顔。
私が心を開かないから、誰も私を信じてくれない。私が誰かを愛さないから、誰も私を愛してくれない。
上辺だけの関係って、こういうことを言うの…?
どうしたらまた泣けますか? どうしたらまた人を愛せますか? どうしたらまた笑うことができるんですかー…?
…幸せになりたい。
いつか諦めた幸せを、もう一度求めていいですか? もう一度、あの頃のように笑っていいですか? 命を託せる人、見つけていいですかー…?
鍵を失くしたわたしを見捨てないで下さい。一緒に鍵を捜して下さい。それが無理ならせめて時間を下さい。猶予を与えて下さい。他に行く当てのないわたしは、ここにいるしかないから。
檻に閉じ込められたまま一生を生きるのは嫌です。後悔に苛まれて命を終えたくはありません。だから、ここから連れ出して下さい。檻の鍵を壊してでもいい。少しくらいならこの手に傷がついてもいい。わたしの伸ばす手を掴んで。早く来て。わたしを『悲哀』で終わらせないで。今すぐどこか遠くへ連れて行って…。
早く見つけたい。わたしの命。わたしが人生を懸けられるたったひとつの…。
いつになるか分からないけれど、どうか待っていて下さい。
冷たい雨が降り注ぐ。あとどれくらい待ったら救けに来てくれますか? 傘を差してくれますか?濡れる肩。震える身体を抱き締めてくれますか?
わたしなんてと思わないで下さい。わたしにはもう時間がない。残された最後の一人だから…。
…この鍵さえなくなれば…自由が手に入るのに…。
傷みなんか感じないよ。ほら、遠くに君が見える。今会いに行くから。
「待った?」
「ううん、待ってない。」
…ほんとはずっと待ってたの。どれだけ待たせたか分かってる?
言えない言葉を飲み込んだ。
東に向かうわたし達。今、小さくなった夕日が西に沈んだ。
THE END.
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」
悲哀
『弱い』。そう思われたくないから、泣かないようにしています。
『でしゃばり』。そう思われたくないから、控えめに涙を流しています。
『可哀想』。そう思われたくないから、なにもなかったような顔を見せます。
外では絶対泣きません。その後が怖いから。
泣くなら一人で泣きたいです。どうしようもない悲しみに打ちひしがれて。
雨が降る下で泣きたいです。折れた雨傘片手に握って。
誰もいないところで泣きたいです。暗闇の中、光ったり消えたりを繰り返す柔な街灯を見つめながら。
どうしたら強くなれますか? 涙流さず生きられますか?
人を傷付けるのが嫌だから、自分自身を傷付けます。怖くないよ。痛くないよ。本当に痛い時は、ちゃんと言うから…。
我慢ばかりしていたせいで、涙の流し方を忘れました。
自己主張をやめてしまったせいで、人との接し方を忘れました。
自分の幸せを棄てたせいで、笑い方を忘れてしまいました…。
失った3つのもの。涙。愛。笑顔。
私が心を開かないから、誰も私を信じてくれない。私が誰かを愛さないから、誰も私を愛してくれない。
上辺だけの関係って、こういうことを言うの…?
どうしたらまた泣けますか? どうしたらまた人を愛せますか? どうしたらまた笑うことができるんですかー…?
…幸せになりたい。
いつか諦めた幸せを、もう一度求めていいですか? もう一度、あの頃のように笑っていいですか? 命を託せる人、見つけていいですかー…?
鍵を失くしたわたしを見捨てないで下さい。一緒に鍵を捜して下さい。それが無理ならせめて時間を下さい。猶予を与えて下さい。他に行く当てのないわたしは、ここにいるしかないから。
檻に閉じ込められたまま一生を生きるのは嫌です。後悔に苛まれて命を終えたくはありません。だから、ここから連れ出して下さい。檻の鍵を壊してでもいい。少しくらいならこの手に傷がついてもいい。わたしの伸ばす手を掴んで。早く来て。わたしを『悲哀』で終わらせないで。今すぐどこか遠くへ連れて行って…。
早く見つけたい。わたしの命。わたしが人生を懸けられるたったひとつの…。
いつになるか分からないけれど、どうか待っていて下さい。
冷たい雨が降り注ぐ。あとどれくらい待ったら救けに来てくれますか? 傘を差してくれますか?濡れる肩。震える身体を抱き締めてくれますか?
わたしなんてと思わないで下さい。わたしにはもう時間がない。残された最後の一人だから…。
…この鍵さえなくなれば…自由が手に入るのに…。
傷みなんか感じないよ。ほら、遠くに君が見える。今会いに行くから。
「待った?」
「ううん、待ってない。」
…ほんとはずっと待ってたの。どれだけ待たせたか分かってる?
言えない言葉を飲み込んだ。
東に向かうわたし達。今、小さくなった夕日が西に沈んだ。
THE END.
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by wck-news
| 2011-05-26 00:00
| 知花さんのエッセイ『心の音』
2011年 05月 25日
『心の音』(3)~知花さんのエッセイ
☆初めての方は、こちらもあわせてお読みくださいね。
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」
後悔しない生き方
進んで人間を嫌っているわけじゃありません。できれば嫌いたくない。わたし一人怖がっているっていうのも分かってる。
それを相手に感じさせたくない。相手に比はないのに、わたしが悪いのに、傷付けることないでしょ?
好くことは難しい。嫌いになりたくないけど、良いところ見つけようとするけど、なにもかもが嘘に思えて。
…偽善者。
そんな気がないことは見ていたら分かるけど、心のどこかで疑ってる。疑おうとしてる。…信じないぞ って。一度絶望に堕ちたら、再起不能なのかな…。
もう失望させないで下さい。中学生のわたし。学校という小さな覆われた社会の中、わたしの居場所はそこにしかありません。わたしにとっては出会う一人一人が人間で、一人一人が『わたし』です。
もう嫌ったり避けたりしたくないんです。『わたし』に『わたし』を嫌わせないで下さい。悪口言う人にはなりたくありません。わたしは悪口言いません。聞いたりするのも嫌なんです。神様目指してるわけじゃありません。ただ、自分を恥じるようなことだけはしたくないんです。年をとって、死を間近に感じる時…。
あの日の自分を思い出して、後悔していたくないんです。70年前の自分に怒っても遅いんです。
過ぎた日は、戻らないから。
未来のわたしに申し訳ないと思うようなこと、したくない。大人になってまで自分自身を責めてたくない。
だから…
もう誰かに傷を作るのは、やめたいです。
命令だから仕方なかった。
そんな理由で終わらせたくないんです。
そんな言い訳じみた言い方、したくないんです。
今日、わたしは最大限の勇気を振り絞って言ってみます。
心を壊すことから、傷付けることから、逃れてみせます。
代わりにわたしが傷付くことになるとしても…。
自らの手で他の誰かを傷付けるよりは100倍いいと思うから。
自分が正しいと思った生き方、してみます。
自分を肯定できるような人になります。
どんな結果になろうと、自分が決めたことだから。
後悔なんかしません。むしろこれまでがしていたくらいです。
これから、後悔とは無縁の人生を送ります。
頑張れ、わたし!!
THE END.
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」
後悔しない生き方
進んで人間を嫌っているわけじゃありません。できれば嫌いたくない。わたし一人怖がっているっていうのも分かってる。
それを相手に感じさせたくない。相手に比はないのに、わたしが悪いのに、傷付けることないでしょ?
好くことは難しい。嫌いになりたくないけど、良いところ見つけようとするけど、なにもかもが嘘に思えて。
…偽善者。
そんな気がないことは見ていたら分かるけど、心のどこかで疑ってる。疑おうとしてる。…信じないぞ って。一度絶望に堕ちたら、再起不能なのかな…。
もう失望させないで下さい。中学生のわたし。学校という小さな覆われた社会の中、わたしの居場所はそこにしかありません。わたしにとっては出会う一人一人が人間で、一人一人が『わたし』です。
もう嫌ったり避けたりしたくないんです。『わたし』に『わたし』を嫌わせないで下さい。悪口言う人にはなりたくありません。わたしは悪口言いません。聞いたりするのも嫌なんです。神様目指してるわけじゃありません。ただ、自分を恥じるようなことだけはしたくないんです。年をとって、死を間近に感じる時…。
あの日の自分を思い出して、後悔していたくないんです。70年前の自分に怒っても遅いんです。
過ぎた日は、戻らないから。
未来のわたしに申し訳ないと思うようなこと、したくない。大人になってまで自分自身を責めてたくない。
だから…
もう誰かに傷を作るのは、やめたいです。
命令だから仕方なかった。
そんな理由で終わらせたくないんです。
そんな言い訳じみた言い方、したくないんです。
今日、わたしは最大限の勇気を振り絞って言ってみます。
心を壊すことから、傷付けることから、逃れてみせます。
代わりにわたしが傷付くことになるとしても…。
自らの手で他の誰かを傷付けるよりは100倍いいと思うから。
自分が正しいと思った生き方、してみます。
自分を肯定できるような人になります。
どんな結果になろうと、自分が決めたことだから。
後悔なんかしません。むしろこれまでがしていたくらいです。
これから、後悔とは無縁の人生を送ります。
頑張れ、わたし!!
THE END.
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by wck-news
| 2011-05-25 00:00
| 知花さんのエッセイ『心の音』
2011年 05月 24日
『想い出』(2) ~知花さんの小説
☆初めての方は、こちらもあわせてお読みくださいね。
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」
三年後
「芹佳、早くぅ! 今日から中学校だよ~!」
今日からわたし達は中学1年生。真新しい制服を着て、わたし達は走る走る。
「芹佳ったら、なんで入学式の日を忘れんの!? ほんと信じらんない!」
三年前のあの日と同じようにわたし達はこの道を走っている。
「露希ちゃんこそ! 昨日うちであんなにはしゃぐからぁ!」
昨日は久しぶりに芹佳の家に届けに行った。つい我を忘れて子供のように遊んでしまった。
「だって久しぶりだったんだから、しょうがないじゃん~! 芹佳だって、夜ずっと一緒に喋ってたくせに、わたしだけに責任押し付けないでよ。芹佳も悪いんだから! てゆーか遅刻して、その上間違えて小学校に行っちゃうなんて、なにそれって感じ! あ、学校だ…ってああ~! 門が閉められるぅ! 芹佳、急いで!!」
残りの距離を全速力で走ったわたしは、門までたどり着き、そのまま芹佳を応援する。と同時に思わず意味もなくその場で足踏み足踏み。
「到着~☆」
かなり遅れて芹佳が追い付く。あー、間に合ってよかった。
「だから、安心してる場合じゃないんだってばっ! 体育館まで走ろ!」
そうだそうだ。ここで安心してちゃだめなんだ。最終目的地(入学式の会場)は体育館だ~(汗)!
後ろから、芹佳の叫びが聞こえてくる。
「え~、またぁ~? もう嫌だぁ~!」
芹佳ってば、そんなこと言ってる間に走ればいいじゃん! 元気あるじゃん!!
それでもなんとか(ギリギリ)入学式には間に合って、これから教室で出席をとります!
「雨井時雨さん。」
「枝戸康太くん。」
「大方美代理さん。」
音量や声質は違うものの、それぞれが返事をしていく。
「上條芹佳さん。」
それが止まったのが、こいつの時だった。芹佳の返事がない。なんで? 芹佳の席を見ると、芹佳は呑気にあくびをしていた。
芹佳ぁぁ! あくびしろ~! …じゃなくて…返事しろぉぉぉ!
わたしの声が聞こえたのか、芹佳が振り向いた。わたしに気付くと、満面の笑みでピースしてきた。なにしてんの? 芹佳…。
わたしは口をパクパクさせて、『返事、返事!』と言う。
「…尚咲さん? なにふざけてるの?」
「…あ。」
いつの間にか先生がわたしのそばに来ていた。そしてふざけていると思われたわたしは、たっぷりとお叱りを受けたのであった。
「…それでは出席を続けます。上條さんはいますか?」
「はい。」
ここでやっと芹佳が返事をしてくれた。まったく、誰のせいでこんなことになったんだか。
ここからは順調だと思ってたんだ。…でも、運命はそんなわたしの期待を無惨にも打ち砕いた。
「次、清海さん。清海音芽さん。」
ん? 清海? …きようみ? …わたし、その名前聞いたことあるような気がする。どこで聞いたんだっけ? うーん…出て来そうで出て来ない。まぁ、そのうち思い出すはず。きっと、ね。
どれくらいの時間が経ったのかな。気が付くと、わたしは校門の前に立っていた。ここにいるのは、わたしと芹佳と…あれ? なんで芹乃がここにいるんだ?
「やっほ~、露希ちゃん。芹乃もお祝いに来たよッ。入学おめでとー!」
袋にいっぱいのビー玉をもらった。…え、なにに使えと?
「あ、そうだ…。」
芹佳が鞄を探り、可愛くラッピングされた袋をわたしに見せた。
「はい! 入学のお祝いだよ♪って、わたしも同い年だけど(笑)」
入学祝いってことは、やっぱり文房具とかかな? …もしそうだったらもしかしてプレゼントかぶってる…? いやいや。そんな偶然あるはずないって。
「ありがとー。家に帰ってから開けるね! ところでわたしも芹佳にプレゼントがあるの。入学祝いだよッ。」
鞄に入れてずっと持ち歩いていた袋を芹佳に見せる。
「わ~。ありがとね! 一生大事にする♪」
そう言うと芹佳は、嬉しそうに袋をぎゅっと抱き締めた。
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」
三年後
「芹佳、早くぅ! 今日から中学校だよ~!」
今日からわたし達は中学1年生。真新しい制服を着て、わたし達は走る走る。
「芹佳ったら、なんで入学式の日を忘れんの!? ほんと信じらんない!」
三年前のあの日と同じようにわたし達はこの道を走っている。
「露希ちゃんこそ! 昨日うちであんなにはしゃぐからぁ!」
昨日は久しぶりに芹佳の家に届けに行った。つい我を忘れて子供のように遊んでしまった。
「だって久しぶりだったんだから、しょうがないじゃん~! 芹佳だって、夜ずっと一緒に喋ってたくせに、わたしだけに責任押し付けないでよ。芹佳も悪いんだから! てゆーか遅刻して、その上間違えて小学校に行っちゃうなんて、なにそれって感じ! あ、学校だ…ってああ~! 門が閉められるぅ! 芹佳、急いで!!」
残りの距離を全速力で走ったわたしは、門までたどり着き、そのまま芹佳を応援する。と同時に思わず意味もなくその場で足踏み足踏み。
「到着~☆」
かなり遅れて芹佳が追い付く。あー、間に合ってよかった。
「だから、安心してる場合じゃないんだってばっ! 体育館まで走ろ!」
そうだそうだ。ここで安心してちゃだめなんだ。最終目的地(入学式の会場)は体育館だ~(汗)!
後ろから、芹佳の叫びが聞こえてくる。
「え~、またぁ~? もう嫌だぁ~!」
芹佳ってば、そんなこと言ってる間に走ればいいじゃん! 元気あるじゃん!!
それでもなんとか(ギリギリ)入学式には間に合って、これから教室で出席をとります!
「雨井時雨さん。」
「枝戸康太くん。」
「大方美代理さん。」
音量や声質は違うものの、それぞれが返事をしていく。
「上條芹佳さん。」
それが止まったのが、こいつの時だった。芹佳の返事がない。なんで? 芹佳の席を見ると、芹佳は呑気にあくびをしていた。
芹佳ぁぁ! あくびしろ~! …じゃなくて…返事しろぉぉぉ!
わたしの声が聞こえたのか、芹佳が振り向いた。わたしに気付くと、満面の笑みでピースしてきた。なにしてんの? 芹佳…。
わたしは口をパクパクさせて、『返事、返事!』と言う。
「…尚咲さん? なにふざけてるの?」
「…あ。」
いつの間にか先生がわたしのそばに来ていた。そしてふざけていると思われたわたしは、たっぷりとお叱りを受けたのであった。
「…それでは出席を続けます。上條さんはいますか?」
「はい。」
ここでやっと芹佳が返事をしてくれた。まったく、誰のせいでこんなことになったんだか。
ここからは順調だと思ってたんだ。…でも、運命はそんなわたしの期待を無惨にも打ち砕いた。
「次、清海さん。清海音芽さん。」
ん? 清海? …きようみ? …わたし、その名前聞いたことあるような気がする。どこで聞いたんだっけ? うーん…出て来そうで出て来ない。まぁ、そのうち思い出すはず。きっと、ね。
どれくらいの時間が経ったのかな。気が付くと、わたしは校門の前に立っていた。ここにいるのは、わたしと芹佳と…あれ? なんで芹乃がここにいるんだ?
「やっほ~、露希ちゃん。芹乃もお祝いに来たよッ。入学おめでとー!」
袋にいっぱいのビー玉をもらった。…え、なにに使えと?
「あ、そうだ…。」
芹佳が鞄を探り、可愛くラッピングされた袋をわたしに見せた。
「はい! 入学のお祝いだよ♪って、わたしも同い年だけど(笑)」
入学祝いってことは、やっぱり文房具とかかな? …もしそうだったらもしかしてプレゼントかぶってる…? いやいや。そんな偶然あるはずないって。
「ありがとー。家に帰ってから開けるね! ところでわたしも芹佳にプレゼントがあるの。入学祝いだよッ。」
鞄に入れてずっと持ち歩いていた袋を芹佳に見せる。
「わ~。ありがとね! 一生大事にする♪」
そう言うと芹佳は、嬉しそうに袋をぎゅっと抱き締めた。
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by wck-news
| 2011-05-24 00:00
| 知花さんの小説『想い出』
2011年 05月 20日
WCKニュース第58号
またまた、遅くなってしまいましたが、
4月に発行したWCKニュースのご案内です。
★☆★ CONTENTS ★☆★
■巻頭エッセイ/スタッフ
■寄稿 女性相談の現場から
~1.1%の人達にできること~ /丸住直子
■特集 フェミニストカウンセリングの組織
~地道で大胆、好い加減のフェミニスト集団:WCK
/坂田幸子
■報告:性暴力禁止法をつくろうネットワーク
全国縦断シンポジウム in 京都 /福岡ともみ
■連載:“ポスト”フェミニズム理論の迷宮を歩く/大槻有紀子
■3月27日 集会アピール
■インフォメーション:講座案内ほか
ご購読のお申し込み、お待ちしています!
※ニュースレターについてのご案内は、こちらをご覧下さい。
お申し込み・お問い合わせはウィメンズカウンセリング京都(WCK)まで。
TEL : 075-222-2133 FAX : 075-222-1822
E-mail: info@w-c-k.org HP : http://www.w-c-k.org/
※以下に広告が出ることがありますが、自動機能によるものであり、
ウィメンズカウンセリング京都とは無関係です。ご注意下さい。
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4月に発行したWCKニュースのご案内です。
★☆★ CONTENTS ★☆★
■巻頭エッセイ/スタッフ
■寄稿 女性相談の現場から
~1.1%の人達にできること~ /丸住直子
■特集 フェミニストカウンセリングの組織
~地道で大胆、好い加減のフェミニスト集団:WCK
/坂田幸子
■報告:性暴力禁止法をつくろうネットワーク
全国縦断シンポジウム in 京都 /福岡ともみ
■連載:“ポスト”フェミニズム理論の迷宮を歩く/大槻有紀子
■3月27日 集会アピール
■インフォメーション:講座案内ほか
ご購読のお申し込み、お待ちしています!
※ニュースレターについてのご案内は、こちらをご覧下さい。
お申し込み・お問い合わせはウィメンズカウンセリング京都(WCK)まで。
TEL : 075-222-2133 FAX : 075-222-1822
E-mail: info@w-c-k.org HP : http://www.w-c-k.org/
※以下に広告が出ることがありますが、自動機能によるものであり、
ウィメンズカウンセリング京都とは無関係です。ご注意下さい。
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by wck-news
| 2011-05-20 00:00
| ニュースレター
2011年 05月 01日
『心の音』(2) ~知花さんのエッセイ
☆初めての方は、こちらもあわせてお読みくださいね。
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」
明日への扉
幸せそうな人を見て、微笑ましく思えるのは、今の自分に余裕があるから。幸せを感じられているから。
幸せそうな人を見て、憎らしいと、壊してしまいたいと思えるのは、今の自分が足りないと分かっているから。焦っているから。
気持ちばかり急(せ)いていいことありますか? 周りばかり気にするより、今のあなたにできることをしていく方がよくないですか?
積み上げて、積み重ねて。それがいずれあなたを形作(かたちづく)っていくものだから。
笑顔でいる人を見て、切なくなるのは自分も笑顔を求めているから。幸せを請うているから。
笑顔でいる人を見て、なにも感じないのは心を忘れてしまったから。なにもかも、過去のすべてを忘れて生ける屍(しかばね)になってしまったから。
…わたし…早く戻りたい…。
誰も君のそんな顔望んでない。そんな顔強要したりしない。誰だって幸せでいたいから。
もう充分でしょ? 苦しんだでしょ? 素直に笑顔、つくっていいよ。あの日のように笑って下さい。
拒んだって構わない。君を否定したりなんかしないから。君の不安は拭うから。拒否は悪いことじゃない。君にできないこと、私がフォローするよ。一緒にやり遂げていこう。できないことなんかない。2人なら、なんでも叶えられるよ。私がそばにいるよ。君の笑顔を待ってるよ。君の幸せ、誰より願ってるよー…。
笑顔と涙は紙一重。涙の数だけ笑顔があって、泣いた分だけ幸せがある。君の人生は君のもの。たとえ身内であったとしても、君を邪魔することなんてできない。そんな権利はない。君が自分で切り開くしかないんだ…明日への扉を。
でも、これだけは言える。君の頑張りは、決して無駄ではないよ。たとえ誰も見ていなかったとしても、いつか必ずその意味が分かる日が来るから。諦めないで、生きていこう。未来は、君の為にある。
命は大切なもの。当たり前のことで、定義でもある。君の幸せと引き換えに、様々な苦労があったとしても…。
どうか自分を殺さないで。世界には、そんなことすら許されない人達がいる。比べたところでどうこうなるわけじゃないけど、そのことを心に止めて。死を選ぶ。それだけはしないで。君の笑顔を願っている人がいるはずだから。今この瞬間にも、きっと。
…君はきっと幸せだよ。いつも近くにいてくれる人がいるでしょ? …気付かないだけだよ。…だから、わたしも…。…きっと幸せ。…そのはずだよね。気付いてないだけ…なんだよね。…幸せってなんだっけ。
解決したはずの問題。考えれば考えるほど突き落とされる闇。地獄のような時間。
それがまた、あの日のようにわたしの頭を支配し始めたのを感じた。
THE END.
⇒⇒⇒「上村知花さんの小説連載のご挨拶(井上摩耶子)」
⇒⇒⇒「上村知花さんのエッセイ連載のご挨拶(井上摩耶子)」
明日への扉
幸せそうな人を見て、微笑ましく思えるのは、今の自分に余裕があるから。幸せを感じられているから。
幸せそうな人を見て、憎らしいと、壊してしまいたいと思えるのは、今の自分が足りないと分かっているから。焦っているから。
気持ちばかり急(せ)いていいことありますか? 周りばかり気にするより、今のあなたにできることをしていく方がよくないですか?
積み上げて、積み重ねて。それがいずれあなたを形作(かたちづく)っていくものだから。
笑顔でいる人を見て、切なくなるのは自分も笑顔を求めているから。幸せを請うているから。
笑顔でいる人を見て、なにも感じないのは心を忘れてしまったから。なにもかも、過去のすべてを忘れて生ける屍(しかばね)になってしまったから。
…わたし…早く戻りたい…。
誰も君のそんな顔望んでない。そんな顔強要したりしない。誰だって幸せでいたいから。
もう充分でしょ? 苦しんだでしょ? 素直に笑顔、つくっていいよ。あの日のように笑って下さい。
拒んだって構わない。君を否定したりなんかしないから。君の不安は拭うから。拒否は悪いことじゃない。君にできないこと、私がフォローするよ。一緒にやり遂げていこう。できないことなんかない。2人なら、なんでも叶えられるよ。私がそばにいるよ。君の笑顔を待ってるよ。君の幸せ、誰より願ってるよー…。
笑顔と涙は紙一重。涙の数だけ笑顔があって、泣いた分だけ幸せがある。君の人生は君のもの。たとえ身内であったとしても、君を邪魔することなんてできない。そんな権利はない。君が自分で切り開くしかないんだ…明日への扉を。
でも、これだけは言える。君の頑張りは、決して無駄ではないよ。たとえ誰も見ていなかったとしても、いつか必ずその意味が分かる日が来るから。諦めないで、生きていこう。未来は、君の為にある。
命は大切なもの。当たり前のことで、定義でもある。君の幸せと引き換えに、様々な苦労があったとしても…。
どうか自分を殺さないで。世界には、そんなことすら許されない人達がいる。比べたところでどうこうなるわけじゃないけど、そのことを心に止めて。死を選ぶ。それだけはしないで。君の笑顔を願っている人がいるはずだから。今この瞬間にも、きっと。
…君はきっと幸せだよ。いつも近くにいてくれる人がいるでしょ? …気付かないだけだよ。…だから、わたしも…。…きっと幸せ。…そのはずだよね。気付いてないだけ…なんだよね。…幸せってなんだっけ。
解決したはずの問題。考えれば考えるほど突き落とされる闇。地獄のような時間。
それがまた、あの日のようにわたしの頭を支配し始めたのを感じた。
THE END.
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by wck-news
| 2011-05-01 00:00
| 知花さんのエッセイ『心の音』
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