人気ブログランキング |

ウィメンズカウンセリング京都          ☆スタッフblog

wcknews.exblog.jp
ブログトップ

11月22日は断酒記念日!

 2006年11月22日は、わが松下さんの断酒30周年記念日だった。私たちは11月19日のスタッフ・ミーティングの後、断酒30周年を祝うパーティへとくり出した。
 断酒20周年記念日は、1996年、ウィメンズカウンセリング京都を開設して2年目だった。ウィメンズカウンセリング京都の事務所で大きなケーキをほおばり、クラッカーなど鳴らしたことを覚えている。
 2005年には、松下さんが語り、井上が書いた『ともにつくる物語ーアルコール依存症回復女性とフェミニストカウンセラーとの対話』を出版した。松下さんが男性中心的な断酒会からフェミニストカウンセリングにたどりついた道筋は、私が男性中心の臨床心理からフェミニストカウンセリングにたどりついた道筋に似ていた。
 松下さんは、「のちのち結局私が堕落したわけです。精神的にはね。世間に迎合する、男の人たちのご機嫌をとるほうにね」と言い、さらに「人の処世術を覚えていったというかな。そういうところが鼻持ちならないですね。今考えるとね。いろんな差別感とか不公平さには気がついていながら、そのへんは引っ込めてしまっていったなっていうことはね、残念に思いますけど。その先生(川上宗薫、作家、松下さんの高校時代の恩師)にはね、いろいろなものの見方とか学んだのに、途中でずっと負けていっているんですよ。世の中にね。闘わないほうを選んでいってね。しまったなと」と語った。
 この松下さんの言葉に、私はこれ以上ないほどに共感した。昨夜、遅まきながらシャーリーズ・セロン主演『スタンドアップ』を観て、松下さんの言葉を思い出した。全米初のセクシャル・ハラスメント勝訴の物語だったが、闘う側を選び、そこに立ち続けることはほんとうに困難なことである。この主人公ジョージー・エイムズは、高校時代の教師からの強姦被害者、結婚してDV被害者、就職してセクハラ被害者である。フェミニストカウンセラーをしていると、こういうことが次々とひとりの女性の身の上に起こりうると十分に納得できる。
 
 話が横道に逸れてしまったが、松下さん断酒30周年記念パーティの後、松下さんから送られてきたメールを紹介しよう。

30年前の今日は、日曜日でした。
前日までの、飲酒疲れで、へとへとになっていましたが、
心の中に、くすぶっている罪悪感、悔恨、焦燥感などなどの
惨めな思いに打ちのめされていました。
この感覚は、毎回、毎回、長年繰り返し襲われたアルコールが、
途切れた時の感覚でした。

そんな感覚から、逃れるために、しぶしぶ、夫の手前(?)、友達が
図書館から、見つけて来てくれた『アルコール中毒と治療』の付録にある
断酒会の住所録を頼りに、近くの支部へ電話しましたが、その日は連絡がつかず、
肩透かし・・・。

翌1976年11月22日に自助グループ断酒会につながり、私の断酒の闘いが
始まりました・・・。

あれから30年、私は、人との出会いに支えられて、本日があります。
前半は心身の生き残りのための闘い、基礎訓練の時間でした。

そして、後半の15年は井上さんをはじめWCKスタッフとの出会いと縁が、
私の目を開き、新しい意識の自覚へと導いてくれたと思っています。

それだけではありません。その間、私はみなさんとの開放的な交流の中で、
暖かい潤いに満たされているのです。

ぶちゃけていえば、会食も楽しいし、カラオケで弾けるのも楽しい!
お泊りで、夜更けまでみんなとしたお喋りも楽しかったァ!
時間が許すいっぱいいっぱい付き合ってくれてありがとう!

素晴らしい私の「断酒30周年」でした。

松下美江子

 松下さんも、私たちも、また断酒40周年への道をともの歩みはじめたところでアル!
                                                  (M・I)

 
 
# by WCK-News | 2006-12-10 10:07 | その他
DV防止基本計画ベスト10発表!!
全国シェルターシンポinはこだてに行ってきた。


全国シェルターシンポが函館で開催されると知って参加は無理かなと思っていたら、急遽「つれもていこら」の出発となった。私とT、I、Kといういつもの仲間だが、行くことに躊躇していたのにはわけがある。Iの夫が六年前、函館・湯の川温泉で危篤となり、いったんは持ち直し帰郷したものの、そのまま病院に運ばれ一ヶ月後に亡くなった。そんな思い出の詰まった「函館」なのだ。七回忌を済ませたI、辛い過去を心の戸棚に直し、議員研修の名目で行くことを決断したのだった。(でもね、私とTは自費だぜ)。

さて今年のテーマは「DVを許さない!『自治』・『人権』『協働』~当事者女性と子どもの自立を支える」である。基調講演は「垣根を越えるーNGO、行政、地域の連携によるDV防止へ」と題してアグネス・チャンさん(NPO「エイジアン・タスク・フォース」アウトリーチ・プログラム開発責任者)からボストン市、マサチューセッツ州などでの活動からみえるものを提起していただいた。DV防止、とくに女性と子どもに対する暴力の防止にとって、議会や政府への働きかけ、地域の様々な機関と緊密にネットワーク形成は不可欠と体験をもとに力強く語られた。

その後、シンポジウムにうつりコーディネーターに戒能民江さん、シンポジストに片山善博さん(鳥取県知事)、高橋はるみさん(北海道知事)、アグネス・チャンさんというメンバーで進められた。日本の行政のあり方、市民の政治参加のあり方が問われていることなどにも話しは及んだが、「行政と民間が協働で被害当事者女性や子どもたちの支援に取り組む必要がある」という認識で一致した。

翌日はテーマごとの分科会が持たれた。私は県のDV防止基本計画の策定委員だったこともあり、「改正DV防止法と基本計画」の分科会に参加した。あくまでも計画の文章だけでのポイント数ではあるが基本計画ベスト10も発表され、各都道府県での特徴的な施策も示された。検証として「当事者参画は未定着。支援者や親族の安全確保が不十分。マイノリティ対策にはかなりのばらつきがある(特に障害者対応が不十分な県が多い)。財政支援は一部進展。市町村の役割は不明確。危機介入は不十分。地域へは一歩ふみだしの施策展開あり」等の点も指摘された。行政任せの計画ではなく作成運動として取り組んだことの意義を再確認できた。

とりわけ真摯に取り組む行政職の方の発言がよかった。DV防止と被害者支援に向け、民間と行政が連携しナショナルスタンダードを作っていけるかもしれないぞ、と希望の見えた分科会だった。ちなみにベスト10は、鹿児島、北海道、愛知、鳥取、兵庫、岐阜、秋田、千葉、福島、佐賀、岡山、岩手、神奈川でした(同ポイントの県も列記。計画の文章のみの評価で点数が低いからといって施策が遅れているということではない。また民間団体がない県や作成中の県は検証していない)。                                by PON

全国シェルターシンポinはこだての講演内容
はこちらで見ることができます。→):http://www.ourplanet-tv.org/live.html 
# by WCK-News | 2006-12-09 00:00 | 日々雑感
自己尊重トレーニング”自分を好きになる講座”を受講して

★片道1時間半の道のりが最初はとても長く感じましたが、しだいに遠さが苦にならなくなりました。広い年齢層の様々な考え方のみなさんのお話を聞くことができ、ありがたかったです。誰しも何かをかかえているとわかっていても、腹をわって安心して話す機会はなかなかありません。口に出していくこと、自分の言葉で語ることの大切さが身にしみました。参加してよかったです。ありがとうございました。

★ゆったりした雰囲気の中で自分の意見を受け入れてもらったり、グループのみなさんのお話を聞いて自分も同じ気持ちだと思ったり。色々な考え方、生き方をしてきた方々の話をかいま聴くことができて良かったです。自分に優しくちょっとずつでもしていければと思いました。今後も守られた環境でのグループワークならば参加してみたい気持ちが新たにわきました。

★”自分を好きになる”という言葉には、なかなかなじみきれませんでしたが、これまで自分が周囲ばかり気にして肝心の自分の正直な気持ち、感情に対していかに鈍感であったか気づかされました。人生の選択に迷うとき、自分の気持ち、感情にフタをすることで、自分も相手も結果的にないがしろにすることが多々あったことを教えられました。同じ講座にあと2回も3回も参加したい気持ちになりました。境界のワークはとてもためになりました。これだけでひとつの講座があればと思いました。2ヵ月間ありがとうございました。

★結局、自分がどうやって生きていくのか答えはでていないけれど、この場所は安全な場所だったし、一人じゃないと思えた所でした。もう少し時間があったら、まだ卒業したくありません(笑)どうもありがとうございました。

★私はグループでの講座に向いてない!!と思うほどしんどいこともありましたが、終わってみるともっと話したかったし聞きたかったなと思えます。私の人生は突然バラ色になったりはしない、でもそれでいいのかも、と今はなんとなく感じています。自分を楽にしてはいけないとずっと決めてかかって、自分に常に課題をおしつけてきたことにも気づきました。まだ、自分に優しくすることはむずかしいですが、ゆっくりとやっていけたらと思います。考え方のヒントをたくさんもらったし、スタートラインに立つ前の準備体操くらいまではいけたかな?ありがとうございました。

★私が一番場を乱していたなと反省しつつも、これこそトレーニングの場なんだからと許していただいて。みんなが心底話ができてきたことをとっても、すごい場だなと思います。こんなに静かに自分のことも他の人の考えも深め合える場にいられるのはとても気持ちいいものですね。あっという間の2カ月でした。トレーナーさん、グループのみなさん本当にありがとうございました。
# by wck-news | 2006-11-29 15:58 | 講座受講者の声
冬の講座の募集を開始しました!

■自己主張トレーニング

自分の自分の言いたいことがうまく言えない
相手がどう思うか気になってノーと言えない
攻撃的な言い方をしてしまう…そんな経験はありませんか? 

自分の気持ちや考えを大切にしながら、率直に相手に伝える具体的な方法を、
ロールプレイ(役割劇)を通して練習します。怒りの感情とのつきあい方や、対
立を解決するための方法についても考えていきます。自分も相手も尊重する
コミュニケーション、あなたらしいスタイルを見つけましょう。

  日 時: 1月22日スタート(全8回)  
       毎週月曜日 PM7:00~9:00
  参加費:16,800円(消費税込)
  定 員 :10名(最低成立人員5名)

■自分を好きになる講座~自己尊重トレーニング  

他人の要求に合わせすぎて自分を見失っていませんか?
自分のいやなところばかり見えて、うんざりしていませんか?
自分をかけがえのない、大切な私だと感じていますか?
日々の生活のなかで気づかないうちに抑えこんでしまった欲求や感情を
再発見しながら、自己尊重感と内なるパワーを取り戻しましょう。

☆プログラム☆私のルール/こころの基本的権利/私と他者との境界
/わたしの感情/ジェンダーと自己尊重etc.

  日 時: 1月31日スタート(全8回)
       毎週水曜日 AM10:30~12:30
  参加費:16,800円(消費税込)
  定 員 :10名(最低成立人員5名)
 
お問い合わせ、お申し込みはWCKまで。
# by wck-news | 2006-11-24 00:10 | お知らせ(講座情報など)

ニュースレター第40号

★☆★WCKニュース第40号の内容です★☆★

■巻頭エッセイ/スタッフ
■寄稿:「ありがとう! わたしはボディワーカーです」/栗岡 多恵子
■特集:「新たな『美の神話』~美しく、かっこよく~」/今西康子
■イベント報告:「WCK公開講座『DV・面接交渉権の基礎知識』」/友杉明日香
■連載:“ポスト”フェミニズム理論の迷宮を歩く⑪
     「ナショナリズムと反フェミニズム~バックラッシュ言説を考える」/大槻有紀子
■株式会社発足 & NPO活動
■インフォメーション:セクハラについて学ぶ講座/AT・SETほか

ご購読のお申し込み、お待ちしています!
ニュースレターについてのご案内はこちらをご覧下さい。
# by wck-news | 2006-11-23 23:23 | ニュースレター

秋の新講座のご案内

ウィメンズカウンセリング京都 2006年 秋の講座
セクシュアル・ハラスメントについて学ぶ講座
    ――実際の裁判事例から――


 職場で、大学で、学校で、セクシュアル・ハラスメントが告発される事例は後を絶ちません。
 セクハラのガイドラインが作られ、相談窓口が設置され、研修なども開かれていますが、被害にあった当事者や身近で関わった人たちでなければ、セクハラ被害がどのようなもので、被害者にとって何が問題で、何に傷ついているのかがもう一つわかりにくいという現実があるようです。
 そこで、この講座では、セクハラの裁判事例のうち、本になっているものを取り上げ、その事例から、セクハラ被害の現実とサバイバーや支援者たちが声を上げたことによって、社会的な状況の変化をどのように生み出してきたのかも学んでいきたいと思います。

<取り上げる予定の裁判>
 *福岡セクシュアル・ハラスメント裁判
 *京大・矢野事件
 *横山ノック・セクハラ事件、
 *アニタ・ヒル事件
 *『集団訴訟』 (映画「スタンド・アップ」原案) など

※テキストは購入する必要はありませんので、お気軽にご参加ください。

■日 時:2006年11月10日から毎週金曜日
(全6回 11/10~12/12/15)
      PM7:00~9:00
■受講料:12,600円(消費税込)
■場 所 :ウィメンズカウンセリング京都
■定 員 :15名(最低成立人数5名)
■申込み:TEL、FAX、メールでお申し込みください。


(TEL) 075-222-2133
(FAX) 075-222-1822
(メール) info@w-c-k.org
# by wck-news | 2006-10-06 01:48 | お知らせ(講座情報など)
大好評の、栗岡多恵子さんのボディワークを連続講座で開催します。
ストレスをゆっくりと解消したい方、”身体ほぐし”を体験してみたい方、
ぜひご参加ください。
参加は女性に限らせていただきます。

ウィメンズカウンセリング京都&Brisaブリーザ主催
“こころ”と“からだ”のリラクゼーション講座
~ボディワーク&アロマの香りでセルフケア~

講師:栗岡多恵子さん(Brisaブリーザ主宰)

エッセンシャルオイル(精油)の香りに包まれて、ゆったりと「大切なわたしのからだ」を確かめながら、体操でもストレッチでもない、アロマテラピーや気功・呼吸法などを取り入れた自然のままの“身体ほぐし”で、こころとからだをさわやかに、自分を取り戻す時間を共有しましょう。


第1回10月16日(月)
19:00~20:30身体ほぐし日々の疲れやストレスでかたく重たくなったこころとからだを各部分ごとに、ゆっくりした動きで丁寧にほぐします

第2回10月30日(月)
19:00~20:30呼吸法とリラクゼーション腹式呼吸で、「いま、ここにいる私」のからだの中心から呼吸して、こころとからだを浄化していきます

第3回11月13日(月)
19:00~20:30きれいな姿勢で気分をリフレッシュ正しい姿勢や立ち方になるように骨格を調整して、きれいな姿勢を保つウォーキングで心身をリフレッシュします

第4回11月27日(月)
19:00~20:30わたしのからだが目覚める動きをする循環がよくなり、からだの中心から自然治癒力が増してくる動きを学びます

第5回12月11日(月)
19:00~20:30リラクゼーションのためのボディワーク 総まとめ(基礎編)
第1回からの身体ほぐし・呼吸法・姿勢・歩き方(ウォーキング)などを組み合わせて、自然で「ありのままのわたし」がゆったりとリラックスできる自分中心のボディワークの時を紡ぎます


■場所:京都市子育て支援総合センター
■こどもみらい館 2階 和室
(京都市中京区間之町通竹屋町下る楠町601-1)
   TEL075-254-5001
■参加費 全5回10,000円
■当日は動きやすい服装と水分補給のための
飲料水を持参ください。

申し込み・お問い合わせは…ウィメンズカウンセリング京都 TEL:075-222-2133 
                            e-mail:info@w-c-k.org まで
# by wck-news | 2006-09-20 17:35 | お知らせ(講座情報など)
改正均等法が成立して来年4月からはセクシュアル・ハラスメント対策が強化されます。
これまでは事業主はセクハラ防止に配慮していればよかったのが
これからはきちんと対処しなければならなくなるのです。

そして、どのように対処しなければならないかを具体的に決めるのが「指針」です。
現在その指針案を厚生労働省の審議会が検討していて
パブリックコメント(意見募集)を行っているのです。

一人でも多くの人が意見を寄せれば、少しでも力になる指針ができるはず。
というわけで、くわしい書き方、送り方などは
日本フェミニストカウンセリング学会のHPに載っています。
http://nfcg.web.infoseek.co.jp/

締め切りは9月27日です。
是非、関心のある方は意見を寄せてください。(す)
# by wck-news | 2006-09-19 18:46 | お知らせ(講座情報など)

狂気の世界遺産

 今年の夏、ポーランドのアウシュビッツを訪れた。出発前はあれこれと考えることもなく、見識を広げられたらという程度の気持ちだった。

 最初に訪れた第一収容所は博物館になっている。門に掲げられた「働けば自由になれる」という標語の下をくぐって中に入った。とたんに息がしにくい。この施設はもともとポーランドの刑務所として作られたレンガつくりの頑丈な建物で、ソ連軍が侵攻してきたときドイツ軍に破壊されずに残ったものだ。思ったよりもこじんまりとしている。

 収容者の遺品が山積みにされた部屋に入ると、なによりもここでとんでもない数の人間が殺されていったのだと実感できる。切取られた髪の毛、鞄、服、生活雑貨・・・・。涙が止まらない。子どもの靴だけが集められた部屋でとうとう、私は嗚咽しないではいられなくなった。これらの靴は、死の直前までくたくたになった真っ黒に汚れた足に履いてあったものだ。どこどこのだれだれと尊く存在していた子どもたちのものなのだ。本当にものすごい数があって、圧倒され続けた。日ごろ、子どもと関わる仕事をしていることもあってよけいにしんどかった。

 その他にも、銃殺の壁、立ち牢、ガスチェンバーなど。そのまま残された施設ならではの生々しさが、そのたびに胸にせまってきた。

 映画でアウシュビッツ収容所を描いたものをいくつか観たことがある。そこで表される施設は、主に第二収容所であることをはじめて知った。そこは、先の施設から数キロ離れたところにあった。鉄道の引込み線が「死の門」をくぐって中に続いていく。ヨーロッパ各地から貨物列車にぎゅうぎゅうにつめこまれて運ばれてきた収容者たちは、その先のプラットホームで、ガス室送りと強制労働とに選別される。引込み線の行き止まりになったところの両脇に、一度に二千人を殺すことのできる大型のガス室が建っていた。これらのガス室は証拠隠滅のために破壊されたが、その残骸はそのままにされている。

 映像で観て頭に残っている広大な収容所の風景はここにあった。男性が収容されていた木造の建物群は焼き払われて、各建物の煙突だけがずらっと規則正しく並んでいる。見学者のために再現された一画を見て回ることができる。ポーランド人のガイドさんがここでの悲惨な生活について詳しく説明してくれる。この話が、またすごい。そこまで人間性を否定された生活のなか、生き延びてきた人がいることが信じられないぐらいだ。

 私達のバスの集合時間まではわずかだった。ガス室まで歩くのは無理に思えた。それでも、私は引き込まれるように、引込み線の先端まで歩いていった。そこにある鎮魂のためのモニュメントとガス室の残骸。とても天気のいい日で、じりじりと照りつけてくる。とても暑かった。

 数百メーターの距離を線路沿いに急ぎ足で歩きながら、私はlここで働いていたドイツ軍の気持ちになってみようと考えた。彼等には列車から降りてくる大勢の人たちが人間には見えていなかっただろう。自分達が搾取する品物を身につけた動物?虫?。ひとかけらの温情なども持ってはできなかっただろう。人間に値するのは、自分達だけであって他にはない。それは個人の狂気ではなく、プロパガンダや組織のなかに抜け道のないように組み込まれた狂気。個人の感情は、重い重いふたで封印してあったに違いない。

 その感覚を想像しているうちに、線路の行き止まりに着いた。そこはやはり特別な場所で、私には空気がピリピリと肌をさすように感じられた。モニュメントの前で手を合わせ、そこにいた人に頼んでガス室を背景に写真をとってもらった。私のおびえた顔と緊張して持ち上がった肩、後ろのガス室とまわりの森は神妙な雰囲気が漂っている印象的な写真が手元にある。

 最初の施設内を歩いていたときに、目の前にぱらりと一枚のポプラの葉っぱが落ちた。今でも手帳に挟んであって、時々思い出す。表現するのはおっくうだし、思い出すのもしんどいけど、何か記録を残しておきたくって投稿した。ぜひ、機会があったら訪れて欲しい。あんな気持ちになった場所は初めてだった。もう一度訪れて、有名な唯一の日本人ガイドさんの話が聞いてみたいと思っている。その時は時間に余裕をもって、ゆっくりと祈ってみたい。 (ひ)
# by wck-news | 2006-09-04 23:45 | 日々雑感

友人の母の死

 昨日、友人のフェミニストカウンセラーのお母さんのお葬式に参列した。がんで長らく自宅療養をされていたので、友人もお母さんの死については覚悟もでき、納得できるものであったろう。
 喪主である友人の最後の挨拶を聞いて、思わずもらい泣きをしてしまった。
 彼女は「私も妹も働いているので、母は昼間ひとりになることも多く、淋しかったこともあっただろうと思う。でも、厳しい娘たちに鍛えられて、母は最期まで自分のことは自分でしていた。幸せな人生だったと思う。少し前に18年も生きた犬が死に、お盆で父が迎えにきたので一緒に行ったんだろう」と語った。
 私も母との最晩年を一緒に暮らしたが、母を残して仕事に行くときに、後ろ髪をひかれる思いをしたことがあった。私の母もまた、右半身不随になりながら、最後まで自分のことは自分でしていた。そして10年生きた猫が死んだとたんに死んでしまったことなどを思い出した。
 フェミニストを娘にもつ母親の最期は似ているのかもしれない。フェミニストの母は、強烈にひとりで在ることと、共に在ることを了解して、人生の幕を閉じるのではないか。
 フェミニストカウンセリングにおいて、母娘関係は興味つきないテーマであり、多くの母娘にとって、相手はアンビバレントな存在である。私も、若い頃にとことん批判した母のことを、父のことよりなつかしく思いだすのは不思議だと思っていたが、友人の母への思いに同じ感覚があることを知って、友人や友人の母、そして私の母に対して強くシスターフッドを感じた。 (M)
# by wck-news | 2006-08-17 12:11 | 日々雑感

フェミニズムの視点にたった女性のためのカウンセリングルーム、ウィメンズカウンセリング京都のスタッフブログです。最新の講座情報やスタッフの雑感などをお届けしています!


by WCK-News